毎年、1年間の読書量を決めて本を読んでいます。
色々なジャンルを満遍なく読むようにしていますが、
僕が一番好きなのはエッセイです。
エッセイのなかでも特に好きなのが、
今回ご紹介する、星野道夫の『旅をする木』。
大好きな本の魅力が更に広まれば、これほど嬉しいことはありません。
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あらすじ
広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。
1978年に初めて降り立った時から、
その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。
その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や
開拓時代にやってきた白人たちの
生と死が隣り合わせの生活を、
静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇を収録。
(Amazonより転載)
レビュー
オススメ度
★★★★★ (とてもオススメ!)
本との出会い
2018年から2019年にかけた年末年始、
留学時代の友人とアイスランドに旅行しました。
壮大な自然とオーロラに惹かれたからです。
アイスランドでは狙い通りオーロラが見れました。
でも、比較的ぼんやりとしたものだったので、
「もっとクッキリしたのが見たい!」という欲が出てきます。
オーロラの強弱には、天候や風の強さが関係するそうです。
調べると、アラスカが良いスポットだとのこと。
アラスカのことをもっと知りたくなって、
良さげな本を探していたところ、この本に出会いました。
ー アイスランドは雄大な自然が魅力
おススメポイント
全体を通して、とても静かです。
しかし、話が単調だとかつまらない訳ではありません。
美しくも過酷な自然に対し、真摯に向き合う星野さんの姿は、
どこか冒険譚のようでワクワクします。
また、文章がとても読みやすい。
頭にスッと入ってきます。
そのため、星野さんが綴る景色を想像しやすく、
読んでいると、自分もアラスカにいるように錯覚します。
最後に、忙しい毎日を送っていると、
目の前のことに精一杯で、心身ともに余裕がなくなってしまいます。
僕はそんな時、星野さんのこの言葉を思い出します。
あわただしい、人間の日々の営みと並行して、
もう一つの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。
良くも悪くも自分の無力さを理解することで、心が軽くなるような気がします。
『旅をする木』は、ただの旅日記ではありません。
アラスカを旅した星野さんの感性を通して、読者に気づきを与えてくれます。
だから、僕はこの本が大好きです。
お気に入りのことば
ふとルース氷河を思い出すたび、
あの一本のオオカミの足跡の記憶がよみがえってくるのです。
あの岩と氷の無機質な世界を、
一頭のオオカミが旅をしていた夜が確かにあった。
バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っていること。
人生とは、つきつめればそういうことなのだろうか。
子どもの頃に見た風景が、ずっと心の中に残ることがある。
いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、
人の言葉でなく、いつか見た風景に励まされたり
勇気を与えられたりすることがきっとあるような気がする。
おわりに
読了後、きっとあなたもどこかに旅したくなるはずです。
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